中小企業における外貨建取引の留意点(事例IV)
「外貨建取引」とは、売買価額をはじめ取引価額が外国通貨で表示されている取引を言う。外貨通貨で表示されても、支払いが円の場合は、外貨建取引には該当しない。
平成29年には「圧縮記帳」と同様に簿記2級試験に含まれており、こちらも同じく対策が必要なトピックであろう。その他、「課税所得の算定」、「リース会計」にも注目しておきたい。
簿記2級の試験範囲になるならないを別にしても、昨今は中小企業の海外進出に関する話題も多い。確か事例3でも過去に海外の工場運営に関する与件文が出たような記憶がある(最近、記憶が薄れているな…)。事例IVにおいても、海外進出に関する話題が出る可能性は十分にあり得るであろう。
そして言うまでもなく、過去に為替予約と言った問題も出題されたことがある。十分に対策しておきたい。
外貨建取引に対する対応
外貨建取引は、実際には何を行うか。主に以下のものがある。
・原則、当該取引発生時の為替相場による円換算額をもって記録する。
・外貨通貨については、決算時の為替通貨相場による円換算額を付す。
・外貨預金を含む、外貨建て金銭債権債務は、決算時の為替相場による円換算額を付す。ただし1年を超えるものは、取得時の為替相場による円換算額を付すことができる。
・評価損を計上した有価証券などは、時価を決算時の為替相場により円換算した額を付す。
このように、外貨通貨については、決算時の為替通貨相場による円換算額を付すため、為替相場の動きによっては取引発生時との差が発生する可能性がある。このために、為替予約やら様々な対策を取る必要があるわけだ。
しかしながら、これら対策については、過去に事例IVで出題されたことのある問題である。なかなか予測が難しい。
外貨建取引に係るリスクを減らす方法
外貨建て取引に係るリスク方法には当然ながら為替予約や金融商品による手法が考えらえる。が、それ以外にも方法はいくつかあるので、紹介したい。
1 輸出と輸入のバランスを取る。
どちらかに偏らせないことによって、為替の影響を相殺することである。
2 為替変動分を、取引先に転嫁するようにする。
特に取引先が大企業である場合は、この方法でリスクを避けるようにするのが良い。
これらがダメな場合、金融商品によって為替変動リスクヘッジを減らしていくことが重要であろう。うーむ、結局はこのあたりの当たり前のことが聞かれることになるのだろうか。