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診断士受験生の夏と秋~試験の思い出~

 

 

一次試験を受けた日は、夏の盛りだった。

 

2日目の試験を終えた帰りの電車には、浴衣を着て花火大会に行くカップルが楽しそうに話していた。試験の疲れは思ったほど溜まっておらず、ただ窓を流れる景色を眺めていた。短期間で準備した試験だったため、大きな期待も不安もなく、河のようにゆるやかに時が流れていた。まだ8月序盤だったが、夏が終わりゆくのを感じていた。

 

 

協会は、一次試験の次の日には試験解答を発表する。発表を知った自分も、職場で早めにランチを終え、他の同僚の目を盗んで昼休みに答え合わせをした。合否をかけた最後の科目の採点(中小)の際は、緊張で手の動きが鈍くなっていたが、幸運にも、自分は合格していた。

 

勝ったのだ。

自分は、一次試験という戦いに勝ち、次の戦いへの切符を与えられたのだ。

 

喜びはふつふつと沸いていたが、それを鎮めるよう、自分は二次試験の参考書を買って家路についた。

 

 

二次試験を準備する中、自分が一次試験を受けた教室を何度か思い出したことがある。教室には10人くらい席が並び、自分は一番後ろであった。

 

実際に合格番号が協会のHPで公開された時は、驚愕した。自分の前に並んでいた全員の番号が、載っていない。皆、落ちていたのだ。そんな中で通過した自分を、誇りに思う気持ちがないわけではない。だが、私の前に座っていた人が一日にして競争から落とされた。その事実が、恐ろしかった。

 

自分は一次試験に受かったが、これは偶々なのだと。甘い試験ではないのだと。

 

 

その「恐れ」とともに、準備を進めた二次試験だったと思う。実力がなければ、油断すれば、運が悪ければ、一気に競争から落とされるのだと。不安を払い落とすように、前を向いて駆け抜けた8月。手ごたえもなく、抱く自身に根拠はなく、暗闇の中を走ってた9月。そして迎えた10月の試験。

 

二次試験を終え、高揚感も次第に収まり、今はまた、この試験への冷酷さを思い出している。ゆるやかに流れていた時は、焦りや欲望とともに、急流となっていたようだ。

 

受験生の11月は、まな板の鯉。誰かが言っていた。

短かく感じる夏に対し、12月を待つ秋は、ずるずると長い。

 

夏の終り (新潮文庫)

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