中小企業診断士は、他の士業との連携しやすいものだと言われる。
以前も診断士のキモは事業の「見える化」という記事を書いた。要は診断士は、他の士業との関係では中心に位置する存在と言われる。
最近読んだ記事では、司法書士との連携について書かれていた。実はこれまで司法書士とのダブルライセンスについては、あまりケースを聞いたことがない。無論、どちらも難易度の高い資格である。そうやすやすとはいかず、数も少ないのであろう。
【第2回】ダブルライセンスを活かして|中小企業診断士の広場|J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]
【特別編第3回】士業連携のさまざまなかたち(2)|中小企業診断士の広場|J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]
兼業のメリット
では、兼業するとどういうメリットがあるのか。ざっと記事を見たところ、メリットには以下のものがある。
(1)登記手続きの仕事から、業務アドバイスの仕事へリンクさせられる
これが一番大きいメリットのような気がする。司法書士は登記手続きといった会社設立の場面で関わることが多く、設立からそのまま顧問契約が結べることもあるというわけだ。
なお登記手続きの具体例は、不動産登記、商業登記、法人登記、債権譲渡登記、動産譲渡登記などである。
(2)経営と法務、バランスよく助言することができる
当然ながら助言内容も、経営と法務のバランスが良くなる。税理士であれば税務面、法律家であれば法務面でのアドバイスに比重が傾くという。その中で中小企業診断士は、士業のコンシェルジュのような形でMF的な役割を担うと言われるが、司法書士を持っていると、個人でもバランスのとれた助言が可能となるのだ。
(3)事業承継のアドバイスと、合併の登記手続きを連携させられる
ちょっと具体的な話になるが、事業承継の事例が増えている中、合併の登記手続きをそのまま自分で行うことが出来るという。(1)の逆パターンと言えばよいだろうか。無論事業承継に関わらず、経営戦略上にM&Aを進める際等も、そのまま登記手続きの仕事に繋げることが可能と言える。
(4)支払い督促の実施
これは予想に過ぎないが、司法書士は支払督促も行うことができる。売掛金の回収などで問題が生じた際に、支払督促を助言し、そのまま実施するというパターンもありうると予想される。
なお実際には、司法書士と中小企業診断士は、直接の接点はあまりないという。登記は会社の基本的な部分なので、そこまで来るときは診断士の仕事は大体終わっているらしい。被りなく連携できるとプラスに捉えるべきなのだろうか。
デメリット
業務上、特に大きなデメリットはないと思うが、やはり難易度だろうか。
司法書士試験の合格も、2000~3000時間の勉強時間を要するとのこと。診断士試験は1000~1500時間だろうか。司法書士に既に合格した人が診断士の試験を受けるには幾分現実的であるものの、診断士→司法書士の流れはなかなか厳しい印象。中小企業診断士の1次試験では会社法があるとは言え、そこまで試験内容が被るわけではない。二次試験には、簿記や会計の問題があるが、法律に関する問題はない。
また実際に兼業している人をネットで検索してみても、なかなか出てこないようだ。とはいえ、だからこそ、司法書士とのダブルライセンスができれば、希少価値が高まると思われる。司法書士の業界でも、中小企業診断士の資格を持っている人が稀有ということで、差別化がはかれるようになるのではないだろうか。