年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書
年間報酬3000万円を目指す、経営コンサルタントとしての仕事のやり方について述べた本。また開業した際には、改めて読み直したい。
主に構成は以下のとおり。
・報酬設定
・営業戦略
・新規開拓(顧客の課題の見つけ方)
・聞く力
・契約交渉(価格交渉と値上げの技術)
・サービス向上
中小企業診断士として、経営コンサルを目指す人には役立つ部分も多いと思う。
診断士と言えば、執筆、セミナー講師、経営コンサルが主な収益源というが、その経営コンサルに関する本である。経営コンサルも、①プロジェクト型、②アドバイス型、③ワークショップ型、④パートナー型、に分類できる。
この本ではお客様の課題として、①会社のお金が漠然としている、②社員との立場の違いによる「危機感のズレ」、③次のビジョンが見えない、といったところを紹介していた。これらは、中小企業の経営者が良くもつ課題と言えるであろう。
またコンサルタントも、ただ社長にアドバイスをするのではない。
クライアントの状況を正しく把握し、「なぜそう考えるのですか」や「そのように考えるに至った背景を、もう少し詳しく聞かせていただけますか?」という質問によって、思い込みを除外したり議論を掘ったりできる。そのように、相手の考えも整理するコーチングのような役割も診断士は求められるのであろう。
むろん最初から、そういった質問をするのは抵抗がある。きちんと関係が構築できていればいいが、そうでない場合もあるであろう。その時は、「今回の相談に乗る上で、お金のことや個人的なことも質問するかもしれませんが、もし抵抗がある場合は遠慮なくおっしゃってくださいね」と言っておくと良いとのこと。確かにそうである。
契約を長期化させるためには、相手の課題やテーマを引き出し、会話の中で次の1年間のコンサルプランを作ることを意識することが重要という。この本は、単に高額報酬を得ることを目標とするだけでなく、それを長期化させるにはどうすれば良いか、という点まで踏み込んでいるのが興味深かった。
その他参考になったこととして、「コンサルティングでモヤモヤがスッキリに変わる「7段階」という図があった。
①そもそも「何がわからないのか」がわからない混沌とした状態
②何が問題かはわかったつもりでいるが、問題の核心がつかめているかどうかが不明確な状態
③問題の核心は明確だが、その解決方法がわからない状態
④解決方法はわかるが、その手段がない状態
⑤自分も含めて、誰(どこ)に頼めば解決するかが明確な状態
⑥やることは明確なのに、何らかの理由でそれをやらない(やれない)状態
⑦やらない(やれない)原因(=ボトルネック)が突き止められ、今すぐ解消できそうな状態。
少なくとも診断士は、クライアントを⑤の状態まで連れて行ってあげることが最低限の役割なのだろう、と思った。