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笑点の歌丸師匠と岩崎邦彦「小さな会社を強くするブランドづくりの教科書」

 

 

歌丸師匠がご逝去された。

 

リアルタイムで見た頃、歌丸師匠は司会者ではなく大喜利の回答者であった。楽太郎さんと貶し合い、木久蔵さんをイジっている印象が強い。お年をめしても、ハリのある声で、それでもゆっくりとした口調で、「伝わる話し方」をしていた。

 

というニュースを見ていると、久々に笑点の歴史を振り返りたくなり、笑点メンバーについてwikipediaとか見ていた。改めて思ったのだが、笑点メンバーは、非常にキャラ付けを本当に重視しているね。自分が見ていた頃の笑点メンバーは、以下のキャラクター付けがなされていたように思う。

  • 小遊三(薄緑)・・・色男、下ネタ
  • 好楽(桃)・・・仕事がない、ドヤ顔
  • 木久蔵(黄)・・・与太郎、ラーメン
  • 桂歌丸(緑)・・・死に関する事項、薄毛
  • 楽太郎(紫)・・・腹黒、インテリ
  • こん平(橙)・・・チャラーン、出身地ネタ、権作

この他、司会の圓楽師匠はウマ面、座布団運びの山田君も子だくさんや元アイドルといった、キャラをしっかりと持っていた。

 

 

ここで思ったのが、これは中小企業のブランドづくりに近いものがあるのではないか、ということである。岩崎邦彦氏の著書「小さな会社を強くするブランドづくりの教科書」では中小企業のブランドづくりについて述べているが、各メンバーのキャラクター化とリンクしそうなところを以下に述べていく。

 

強いブランドの条件

強いブランドの条件には、以下のようなものがある。

 

明確なコンセプト、明快なイメージがある

これは笑点メンバーのカラーだろうか。各メンバーは必ず同じ色の服を着続けており、色を見ると、「ああ、あのメンバーね」と思い浮かべることができる。ゴレンジャーやももいろクローバーZもメンバーに持ち色を与えており、明快なイメージを与える上で効果があるのだろう。

 

なお、中小企業がブランドづくりをする際には、自分のカラーや持ち色を決めたならば、広報(ウェブサイトやポスター、店構え)などはそのカラーにシナジーを持たせることが重要となる。ウェブサイトはシックにおしゃれに作っていても、店構えがギラギラとした原色カラーだと、顧客は興ざめしてしまい、ブランドづくりを失敗してしまう。

 

情報発生力がある・口コミ発生力がある

メディアで取り上げられる、検索上位になる、口コミが発生することを意味する。

口コミを発生させるには、「伝えやすいこと」と「伝えたくなること」が重要という。このうち「伝えやすいこと」には、モノゴトの特徴が絞り込まれていて、言語化しやすいことが大事であるという。笑点メンバーのキャラ立ちは、(口コミではないが)ネット上でも話題になりやすいのではなかろうか。歌丸師匠のご逝去は、twitter上でも話題になっているのを見たし。

 

独自のポジションがある

冒頭で述べたとおりであるが、各メンバーは自分のキャラ持ちを重視していた。独自の、自分の強みや弱みを活かした、ポジションを作ることを大事にしていたように思える。なお、他のメンバーとキャラが被る時は、そのメンバー間で誹謗合戦をして、それぞれがキャラ立ちするように留意していたようである。

 

感性に訴求する

この点の類似性を見付けるのは難しい。

が、機能訴求が「大喜利の回答の内容をウリにする」こととするならば、感性訴求は、回答の良し悪しだけでなく、「暴言を吐かれた歌丸さんが楽太郎さんにやり返す」ことや、「木久蔵さんのしょうもないダジャレ回答に対して、他メンバーがツッコむ」といった「メンバーの人間関係もウリになる」ということだろうか(違うか)。

 

 

ブランドづくりが成功した理由

岩崎氏の本では、ブランドづくりが失敗する理由についても述べていた。ここでは、それを踏まえて、各メンバーがキャラを持ち、それを維持できた理由について考察したい。

 

品質管理がしっかりしている

やはり参加メンバーの品質が高かったのは大きい。各々、落語家として、常に自分の技能を高めていたように思える。大喜利以外の場で、実際に落語をしているところを見ると、その表現力に感嘆したものである。質の高いメンバーを入れ、そして各メンバーが噺家としての質を高め続けたことが大きいのだろう。

 

共感性の確保

各々のキャラクターは、自虐的なものが多かった。薄毛、ミイラ、腹黒、与太郎など。それ以外でも、勘違いキャラ(色男、金持ち、インテリ)でツッコみやすいもので、不快に感じるキャラ付けはなく、見ていて心地よいものが多かった。視聴者に、どのように見えるかよく考えていたのだと思う。

 

一貫性がある

岩崎氏の本では、コミュニケーションに一貫性がないこと、無関係なブランド拡張は、ブランドづくりの失敗の理由になるという。笑点メンバーだと、自分が一度キャラをつくったら、そこから軸をあまり動かさず、一貫性を保っていた。新たにキャラを作ろうとするのではなく、自分のキャラを維持したまま、他のメンバーとの連携によって、新たな価値やカラーを出そうとしていたような気がする。

 

 

以上が、笑点メンバーのキャラクターづくりを見て感じたことである。

 

岩崎氏は、「ブランドも、磨かなければ、徐々に陳腐化していく」という。笑点メンバーも、毎回毎回という程ではないが、たまには各々のキャラクターを出す回答を出していた。だが、そのタイミングは、「しつこい」「もう飽きた」というものではなく、「待ってました」と感じるようなものだった。なぜだろうか、「陳腐化」ではなく「定番化」していたキャラクターであった。

 

ひょっとすると、我々が考える以上に、メンバーのキャラクター化というのは練られたものなのかもしれない。今になってそう感じるのである。

 

小さな会社を強くする ブランドづくりの教科書

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笑点 第1号 (日テレムック)

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