(事例4の予測)圧縮記帳における直接減額方式と積立金方式
圧縮記帳。
2017年度の中小企業診断士の問題でいきなり出てきたものである。まだ実際の問題として出題されたものではないが、ここでまとめておきたい。2018年度の問題で、具体的に聞かれるとは思わないが、念のため確認しておきたいものである。
圧縮記帳とは
一言でいうと、国からの補助金などにより取得した有形固定資産について、取得原価を減額(圧縮)することである。会社が固定資産を取得する際に、国等から補助金を受け取れる場合がある。その際に行う特別な会計処理である。
会計処理には、(1)直接減額方式と(2)積立金方式がある。
直接減額方式
国庫補助金などを①受け取ったとき、②固定資産を取得したとき、③決算時に処理を行う。
①国庫補助金を受け取った段階
「国庫補助金収入」「工事負担金収入」として計上。
②固定資産を取得した段階
取得に使用した補助金の金額分だけ、「固定資産圧縮損(損金)」として処理し、相手科目として建物など固定資産勘定を減少させる。
③決算時
圧縮記帳を行った固定資産の減価償却は、圧縮後の帳簿価額を取得原価とする。
積立金方式
固定資産の取得原価を減額せず、決算時に国庫補助金の額を圧縮積立金として積み立てる。
なお、この積立金は、税効果会計の適用を受けることとなる。
圧縮記帳の対象
圧縮記帳の対象となるものは、有形固定資産を購入する際の資金である。具体的には、以下のものがある。
(1)国庫補助金
(2)工事負担金(電気やガスなど、利用者から受け取る設備の建設資金)
(3)保険金(保険差益相当額)
圧縮記帳のメリット
ではこれら圧縮記帳のメリットは何だろうか。
それは、補助金を受けた場合、その金額だけ収益が計上され、利益が増額し、法人税が増える。これを避けるため、圧縮記帳を行って当期の利益を減額することが可能となる。
とは言え、これは法人税が減るというよりも、繰り延べるだけである。固定資産の取得価額を減額するため、減価償却費も同時に減額することとなる。このあたりは、また税効果会計のところで改めて勉強しなおしたい。