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社内交流を促進させるインターナル/インナーコミュニケーションの戦略とは

 

 

社内のコミュニケーションを促進する。

 

企業の課題に対するよくある解決策案のひとつではないだろうか。中小企業診断士の試験解答例ではよく見る助言である。

 

では、具体的に社内のコミュニケーションを促進するとは、どうするのか。これは常々自分が感じている疑問である。

 

正直、社内報がまわってきても見ないことが多い。見たとしても、頭に残らないことも多い。(そしてその後、上司に怒られる)

 

社内報程度ならまだいいのだが、会社側が本気で何か制度を変えて、それを行動へ落とし込もうとするときは、なお厄介である。そういう話の第一印象は、「面倒だ、変えなくていいじゃないか」である。そう思いながらも、シブシブ研修に出ているのだが。

 

 

・・・とちょっと愚痴が多くなってしまったが、改めてインナーコミュニケーションについてまとめた。基本的にはオーソドックスなものが多いのだが、結局はこれら手法に対して、形式的に行うのでなく、きちんと受信者が理解しているかどうかを意識しつつ、質を高めるような工夫を行っていくことが大事なのであろう。なお、ネットで調べるとインターナルコミュニケーションとインナーコミュニケーションは同義で使われているようであるが、ここではインナーを使いたい。(英語ではInternal Communicationが主流のようだ)

 

インナーコミュニケーションの狙いと施策

施策を考える上で、まずインナーコミュニケーションの狙いを考える事が重要である。コミュニケーションとは一言でいえば「伝える」ことであるが、その目指すところは、受信者の(1)認知、(2)理解、(3)行動、(4)定着の段階がある。まず認知し、その内容を理解した上で、人は行動に繋げ、それが習慣(定着)となる。また(1)から(4)に動くにつれて、実現へのハードルはあがっていく。

 

(1)認知:

伝えたい内容について「告知」し、受信者が「認識する」段階である。

 

具体的な手法としては、社内報による告知、トップからのアナウンス、イントラネットを通じた全社員の発信などがある。一方通行の発信なので、受信者が身を入れて読まないことや、「自分に関係ない」と無視される懸念がある。告知する形式も、①紙系メディア(社内報)、②ネット系メディア(イントラネット社内SNS)、③映像系メディア(朝礼や社内イベントの動画)での通知も考えられる。

 

(2)理解:

情報を認知した後に、それを咀嚼し、「理解」する段階である。なぜその情報が告知され、なぜ重要なのか、受信者が理解する。但し、頭での理解の段階であり、実際にどのような行動をとれば良いのかというレベルまでは達しない。

 

この段階では、イベント系メディアとして、社内での研修やキックオフといったFace to faceの会議、オリエンテーションの場を通じて、実際にコミュニケーションを取ること、社内イベントの実施が考えられる。

 

(3)行動:

情報の重要性を理解した後に、職場での「行動へ落とし込まれる」段階。一方通行のコミュニケーションではなく、そこから活動へと転じる状態である。

 

この段階では、「行動に落とし込む」ための施策と、「行動を持続する」ための施策を考える必要がある。前者は、部門や事業部ごとで行動方針を出し、制度やルールを設定する必要がある。加えて、行動に対する表彰や評価の設定、行動の結果に対するフィードバック、人事とのリンク付けを行う等、行動する側に動機づけを行う必要がある。

 

(4)定着:

業務を通じての行動が繰り替えされ、動機付けがなくても習慣化される状態である。この段階までくれば、告知した内容は企業文化として定着する。

 

インナーコミュニケーションを行動から定着へ達するために

先に述べた(3)行動から(4)定着であるが、これはなかなか難しい。やろうとしていることが新しければ新しいほど、習慣化させるためのエネルギーは多大だ。さらに反発も生じる可能性がある。このため、以下のように組織全体で取り組んでいく必要があるのだ。社内コミュニケーションと言えば、納会の写真とか貼り付けた社内報くらいっしょ、へへみたいに思っていた自分であるが、内容によってはこのように組織の変革を伴うものもある。

 

(1)コミュニケーション統括部書の拡充と機能強化

まずは、コミュニケーションを担当する専門部署を設置し、機能を明確にすることである。規模の小さい会社では、総務部が片手間に社内報を発信し、社内研修を行うことがあるが、期間限定でも、機能を委譲された専門部署を設置し、体系的かつ組織的、そして持続的に行うことが望ましい。

 

(2)プロフェッショナルコミュニケーターの育成と制度確立

専門部署が作れないにしても、コミュニケーターの能力向上は必須である。外部研修等を受けて、訴求ターゲット・テーマの明確化や最新の広報手法などを駆使して、効果的にコミュニケーションを行うことが効果的である。正しく伝わるコミュニケーション、予測されるネガティブ感情への対応、共有価値を生み出すコミュニケーションなどが可能となる。

 

そのような外部研修では、インナーコミュニケーションに対する評価制度について学ぶこともでき、PDCAを通じ、コミュニケーションの質を高めることができる。

 

(3)人事評価制度とのリンク

既に少々述べたが、社内人材の意欲を向上させ、行動を変え、習慣化させる上で、人事制度とリンクさせることは効果的な手法の1つである。社内研修の参加や新制度実施に対する貢献等を、人事評価の貢献要素として設定することは、多少なりとも意義があることであろう。

 

他方、社員の中には昇進に関心がない者もいるし、利益と関係がない以上、昇進要件の割合としては低くならざるを得ない。このため、人事評価制度とリンクさせるにしても、形だけとなることは致し方なく、優先すべきは社員ひとりひとりに適切に理解してもらい、必要性を認識した上で、動機付けを心がける事であろう。

 

(4)社員へのアプローチ方法の考察

 実際に社員に行動に移させるためには、会社として何かしら働きかけることが必要である。その姿勢としては、①単なる推奨(実施してね、と依頼する程度)、②コミットの命令(「いつまでに」「誰が」「何を実行するのか」を宣言させる)から始まり、中途では③原因追求(うまくいっていない場合、なぜうまくいっていないかをなぜなぜ方法等で考えさせる)、④行動の評価とフィードバックの提供、などがある。

 

どの程度、社内で落とし込みたいかによって、社員へのアプローチ方法も変わってくるのである。

 

社員の感情に訴え、真に動機づけられた行動を導くために

それでは実際に社員の感情に訴えて、行動を導くにはどうすれば良いか。

 

あらゆる場面に通じる解決策を提示するのは難しいが、以下の7つのチェック項目等が使われている。変化したい側の「思い」を「わかりやすい文章」で示し、社員にとっても価値があるものとして伝えることが肝要だ。

 

(1)変化に対する「なぜ」「なにを」がわかるか

(2)トップの「思い」が語られているか

(3)経営理念や、これまでの歴史と一貫性があるか

(4)変化後の情景が見えるか、「そうなるといいなあ」と思えるか

(5)具体的に何が変わるかイメージできるか

(6)変化にはどのような困難が伴うか示されているか

(7)その困難を超えていくだけの強い信念が感じられるか

 

まとめ

 人は変化を嫌うものである。特に自分の成績や、利益に直接的に貢献しないのであれば、なおさらである。

 

インナーコミュニケーションに関する施策はいくつかあり、実際に企業で行われているものも多いが、「本当に行動に移す段階まで昇華させ、慣習化することができているか」を考えると、まだまだ改善の余地があるであろう。

 

変化を嫌う人の心理にも注目し「自分にとって価値がある」「都合が良い」と感じさせることが重要であり、そのためにはどうすれば良いか。これは組織が置かれた状況によって異なるものであり、ケースバイケースでじっくり考えていくことが重要なのであろう。