上野千鶴子氏「東大入学式祝辞」と中小企業診断士試験
皆さま、今年の東大入学祝辞は読みましたか。
昨今の東京医科大学不正入試問題を踏まえ、特に女子学生に対しては、選抜試験が不公正なこともある、と述べています。
中小企業診断士の試験はどうでしょうか。平成30年度の中小企業診断士2次試験を見てみます。女性受験者の合格率に対する男子受験生の合格率は0.94倍です。平成29年度以前は、もっと差があったように記憶しています。
この0.94を不公正と取るかは、もう少し比較分析をする必要がありますが、上野氏によると文科省の人が「理工系も文系も女子が優位な場合が多い」と述べたそうです。そう考えると、2次試験で女性の方が合格率が高いのは不思議ではありません。
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とまあ、「試験の不公正」ということで診断士の試験とも少々絡めてしまいましたが。
上野氏の祝辞で私が感銘を受けたのは、以下の点である。
あなた方を待ち受けているのは、これまでのセオリーが当てはまらない、予測不可能な未知の世界です。これまであなた方は正解のある知を求めてきました。これからあなた方を待っているのは、正解のない問いに満ちた世界です。
診断士の世界も同じでしょうね。どの分野に需要があるかもわからず、問いも自ら立て、そしてそれを解決していく。正解がない世界で、生きていかなければなりません。
学内に多様性がなぜ必要かと言えば、新しい価値とはシステムとシステムのあいだ、異文化が摩擦するところに生まれるからです。
診断士と言えば、様々なバックグラウンドの人が取得する資格であり、ネットワーキングにも力を入れています。新しい文化の人と摩擦を起こし、新たな価値を生み出したいものです。
大学で学ぶ価値とは、すでにある知を身につけることではなく、これまで誰も見たことのない知を生み出すための知を身に付けることだと、わたしは確信しています。
診断士試験の一次試験では、いやというほど知識をインプットしました。試験に受かった後は、新たな知を生み出すために、試験で身に着けた知識を活用しなければなりません。
このように、祝辞を見て診断士のことが頭にチラついたので、記録しておきました。診断士は士業の中でも、時に「既存の概念を打破」し、誰も見たことのない「新たな知」を生み出していかなければならない、過酷でありやりがいのある資格なのだと思います。