インスタ映えさせないファーストクラス搭乗記
ファーストクラス。
なんと甘美な響きで、永遠の憧れを喚起する言葉であろう。
世の中には、「飛行機のファーストクラスなんて俺は興味がない。資本主義の豚なんてまっぴらだ。」という人もいるだろう。
俺も、かつてはそうだった。平等を愛したい。公平さを、抱きしめたい。
そう思う夜もあった。
だが、そんな気持ちは冬の空に溶けてしまった。
なぜなら、俺は飛行機のファーストクラスに乗ったからだ。世の中には、2種類の人間がいる。ファーストクラスに乗ったことがある人と、乗ったことがない人間だ。
俺は、乗ったことがある側へと立ち位置を移したのだ。
だが、決して浮かれるわけにはいかない。ファーストクラスに乗った人間は、それ相応の立ち振る舞いが求められる(はず)。よってこれからファーストクラスの搭乗記を書くが、浮かれ気分を出さないよう、決してインスタ映えさせないような体で、記録しておきたいと思う。
*
■成田空港~ラウンジ
都内某日。例えファーストクラスでも、空港にはいかなければならない。
電車に乗って移動。成田空港に到着し、ラウンジに向かう。
ラウンジに行かせないように、トリモチでもしかけられているのだろう。
足もとには注意だ。
ラウンジ近くには、「集まろうぜ。」というポスターが。
集まって、俺のチケットを奪おうというのか。そうはさせない。
そしてラウンジに到着する。ツウは食事なんてしないと考え、ひたすらDancyuを読んで時間をつぶす。トマトソースを作るコツは、トマト缶からトマトを抜き、残りの汁を煮詰めることだそうだ。勉強になる。
■ラウンジ~搭乗
ラウンジを出て、いよいよ搭乗に向かう。ファーストクラスは優先搭乗できるので、他のクラスからブーイングが飛ぶかもしれない。
お土産に東京ブラックサンダーを買う。
ブーイングが飛んだら、これを配ろう。準備のよさ、てやんでぇ級!
準備は万端。いよいよ搭乗口に向かう。
ファーストクラスの搭乗口は別口である。支える柱も強靭だ。
搭乗直前に撮影。臨場感あふれる撮影ができたと思う。
■機内
添乗員に迎えられ、無事に席に着くことができた。
まずはアメニティのチェックをする。
スリッパをはく。スリッパを入れた後の包装。これも、高級だ。
その他、香水や歯ブラシが入ったポーチに、パジャマももらった。
席にはUSBも2つある。
添乗員に対して、「充電してあげようか?」と声をかけようか。
搭乗した後は、デーツで歓迎。どうですか、この艶、おいしそうなフォルム!?
※デーツ・・・ナツメヤシの実
なんでもファーストクラスにはシャワーがついているらしい。
飛行機に水は限られている。気分は「ヒャッハッハツ 水だーーーーーーっ!!」
■食事
ファーストクラスの酒や食事は、ビジネスより選択肢が多い。
俺は、事前にネットでメニューを確認。なぜなら、最も高い食事をしたかったからだ。
酒はブランデーのヘネシーパラディを選択。10~15万円くらいするらしい。
飲んだ感想は、「これが高い酒の味なんだな」。
つまみとして、ミックスナッツがつく。ピスタチオの皮もむいてくれている。
ワインのアテは、持参したカット酢漬けイカ。ツウと思われたか(笑)。
いよいよ食事がはじまる…!
その前に、カット酢漬けイカ。慣れた食べ物で、胃をいたわろう。
食事は和食も選べるそうだが、俺は洋食にした。メニューも渡してもらえる。エコノミークラスのように、「おまえはチキンか?」なんて質問もされない。
一流は食後のテーブルも綺麗という。ナプキンをたたまないのはマナー(照)。
■まとめ
その後は席で寝て、無事に到着した。
長旅であったが、疲れも残らず快適な旅であった。
世の搭乗記の多くは、綺麗な写真が多くきらびやかなイメージを与える。
だがこの記事は、より等身大の姿を皆に伝えられたのではないかと思う。
ファーストクラスだろうと、決して飲まれてはいけない。
自分を見失いそうに甘美な響きがあろうとも、カット酢漬けイカをしゃぶり、平常心を保って乗ろう!
(おしまい)