変化に対応していくために、転職したロスジェネの話
数か月前に、知人が転職をした。
知人はいわゆるロスジェネと言っていい年齢である。大学卒業後は第一希望ではなかったが、新卒で大手電機メーカーに就職した。新卒時、彼はうまく就職できたが、就職した後も、あまり会社からいい扱いを受けなかった。彼の友人の多くは就職に失敗したとも彼から聞いた。彼自身、「会社に守ってもらう」という意識をあまり持っていないようだった。
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そんな彼は、既に中小企業診断士の資格を取得している。診断士の資格を使って直接稼いでいるわけではないが、経営コンサルタント会社で働いていた。だが、彼は、自らの意思で会社を去り、とあるベンチャー企業に転職するという。もったいない。
先日、彼とちょっとだけ話す機会があった。なぜ、転職をするのかと私は尋ねた。
彼はやりがいや達成感、ライフワークバランスなどを転職の理由としてあげていた。それに補足して、「これから経営コンサルタントの価値は下がるのではないかと考えている」と言っていたのが印象的であった。
経営コンサルタントの数はひと昔前に比べ、数が増えてきているという。また経営コンサルタントのスキルやノウハウも一般の人でも身につけられるようになって、希少性が下がっている。本屋を見てみなよ、「外資系コンサルタントの~術」みたいな本が溢れかえっているだろう、と。また会社から出ていったコンサルタントが事業会社に入れば、外部のコンサルタントなんて必要とはしなくなる。経営コンサルタントは、斜陽産業だと思う。そこにしがみつくより、これから伸びる産業のベンチャーで挑戦したい、と。そう言っていた。
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彼の考えは、正解ではないかもしれない。経営コンサルタントも、知恵をしぼり、また新たなイノベーションを起こしていくのではないかと思う。だが、彼は、自分の実感と知識と経験に基づき、「いまの最善解」を導き出して転職したということはよく分かった。意識的に違う視点、複数の視点を持ち、意見を交わし頭の中で討論することで、決断をしたのだ。
今の時代、10年後や20年後にどのような仕事が産まれているかもわからない。既存の仕事で、何がAIに担われているかもわからない。変化の時代であることは間違いない。だからこそ、彼は自分の頭で考え、自ら変化したのだ。あいつは風になりました
秋山真之は、明治維新の後、学士の価値は下がると考えて海軍へ入隊した。瀧本哲史氏は、東大法学部の助手というカードも10年、20年というスパンで考えれば暴落していくと考え、マッキンゼーに転職をした。一見すると価値の高いポジションにいながらも、先を見て出て行った人材は多い。失敗していった人もいるのだろうが、ただ彼の成功を祈りたい。
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自分はこれから中小企業診断士を目指し、試験を受ける。それに受かったからといって、そこがゴールではない。では、どこがゴールなのだろうか。診断士として独立して、自分で客を引っ張って来れるようになったらゴールなのだろうか。いや、ゴールなんてないのだろう。今の時代、何か資格をとったり、どこかに就職したりすれば人生が「あがり」ということは無い。常に時代の波風を読み、自分のもっている能力や適性、スキルを踏まえて、舵を取り続けて行かなければならない。